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事例11:精神発達遅滞 再請求成功例
(知的障害)

傷病名  精神発達遅滞(知的障害)
年金の種類  障害基礎年金
等級  2級
請求方法  障害認定日請求(遡及)
年齢・性別  20代・男性

精神発達遅滞による障害基礎年金不支給決定後、再請求して2級決定獲得

 

1. ご両親が裁定請求して不支給決定

 斎藤信夫さん(仮名)は精神発達遅滞で療育手帳所持、19歳で就職し、現在パートとして就労中。

 20歳の誕生日後すぐに20歳前障害として、ご両親が書類を作成し、障害基礎年金の裁定請求をしたのですが、不支給となり、困惑して障害年金支援ネットワークに審査請求を依頼してこられました。

 そのときすでに、ご家族は社会保険審査官に審査請求することを電話で連絡し、審査請求書用紙を取寄せ済みでした。

 

2. 医師の診断書に問題あり

 最初に障害年金の裁定請求をしたとき、医師の診断書は封筒に入れられて封がしてあったので、ご両親は開けてはいけないものかと思い、そのまま市役所の年金の窓口に裁定請求書とともに提出したとのこと。コピーも取っていなかったので不支給決定後に年金事務所で診断書と病歴・就労状況等申立書のコピーをもらっていました。

 その診断書には、鈴木ビネー式知能検査結果IQ66、軽度の精神発達遅滞と書かれており、⑩ウ 2の日常生活能力の判定欄は「自発的かつ適切に行うことはできないが助言や指導があればできる」が4つあるのに、3の日常生活能力の程度は(3)に○が付けられていました。病歴・就労状況等申立書も記載欄が狭いので、生育歴や日常生活の不自由さが十分に説明されていませんでした。これで審査請求しても支給決定を得るのは困難だと判断して、あらためてもう一度裁定請求をすることにしました。

 

3. 診断書書き直し依頼

 適切な診断書を書いてもらう医師を探しましたが見つからず、元の医師に診断書の書き直しを依頼しました。書き直しの根拠は、母親が保管していたWAIS-R成人知能検査の結果と障害者雇用促進法に基づく「重度知的障害者の判定書」でした。

 最初に裁定請求したとき、この検査結果や判定書を医師に見せず、裁定請求書にも添付していませんでした。この検査結果と判定書は就労支援を受けている時に得たもので、IQは総合で60ですが、言語性IQに比べて動作性IQが著しく低く、右脳に損傷があると推定されました。WAIS-R検査結果の分析については解説書を読んで知識を得ました。

 動作性IQが低いことによる影響は、日常生活の困難さとしては絵が描けないとか、視覚的認知ができないことが原因となって人の動作のまねができない、マンガのこまの順番が理解できないなど、小・中学校の頃の状態からも伺われました。

 そこでもう一度WAIS-R検査を実施して、言語機能と動作機能の大きな差があること、そのことにより単純作業も困難であることを書いてもらいました。同時に20歳到達時の診断書も新たに見つかったデータ(前記母親保管のWAIS-Rと「重度知的障害者の判定書」)が得られたということで書き直してもらったのです。

 

4. 病歴・就労状況等申立書に13ページの別紙を添付

 病歴・就労状況等申立書には別紙を付け、その中で支給・不支給の判断で問題とされる可能性があるいくつかの事項、すなわち①特別支援学級や特別支援学校へ行かせなかった理由は障害が軽かったからではないこと、②高いIQ数値からは想像しにくい日常生活における不自由さがあること、③就労しているが1年契約の不安定就労であること、の全てにわたって説明しました。

 成育歴も別紙とし、WAIS-R検査の言語機能と動作機能の大きな乖離が生育歴にどのように影響を与えていたかを記載、添付しました。これら別紙はA4で13ページにもなりました。

 

5. 20歳到達時に遡及して認定日請求

 20歳到達時の書き直し後の診断書と請求時の診断書2枚を添付して認定日請求をしました。

 市役所の担当者は、一度不支給になっているのに事後重症請求(年金の支払いは、請求したときからになる)ではなく、20歳到達時に遡及して認定日請求しても無理だと言わんばかりに、「障害認定日に受給権が発生しない場合には、事後重症請求とすることを申立てます。」という書類(「障害給付 請求事由確認書」)を書くように指示するので、書きました。

 

 ところが結果は認定日請求が認められ、20歳到達時に遡及して2級の障害基礎年金を受給することができました。ご両親は大変喜ばれ、最初から障害年金支援ネットワークに依頼すれば良かったとおっしゃってくださいました。

 

担当社労士 Y.K(兵庫県)

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