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このページでは、障害年金の基本的な内容を、できるだけわかりやすく解説します。
「基本はわかっているので、『受給するための要件』『手続きの進め方』などを詳しく知りたい」という方は、次のリンクから詳細説明ページにお進みください。
障害年金とは、病気やケガによって、日常生活や仕事などが制限されるようになった場合に、受給することができる年金です。
障害年金には種類があり、受給するためには決められた要件をクリアする必要があります。
年金は高齢者だけのものではありません。
労働による収入を得ることが難しくなったときに、生活するための所得保障をするのが年金制度です。
3つある公的年金のうち障害年金は現役世代も受給することができ、原則として20歳から65歳になるまで(65歳の誕生日の2日前まで)請求できます。
年金の種類 | 内容 |
---|---|
老齢年金 | ある一定の年齢になった後の生活保障 |
遺族年金 | 一家の働き手が亡くなり、遺された家族の生活保障 |
障害年金 | 病気やケガで、働くことが難しいときの生活保障 |
障害年金の対象は、事故で障害を負った人や生まれつき障害がある人ばかりではありません。
「うつ病」「双極性障害」「統合失調症」などの精神疾患や発達障害、「がん」「難病」「糖尿病」といった“障害”という言葉と結びつきにくい病気も含め、ほとんどの病気やケガが障害年金の対象です。
「障害者手帳を持っている人だけが障害年金の対象になる」という訳ではありません。
障害者手帳を持っていなくても障害年金を受給することはできます。
なぜなら、障害者手帳と障害年金は全く別の制度で、判定方法も違うからです。
障害年金を受給している人で、障害者手帳を取得していない人は大勢おられます。
手帳の種類 | 判定方法 | 備考 |
---|---|---|
身体障害者手帳 | 身体障害の程度によって1級~7級に分類されています。 | 障害が固定となり交付されるため、原則として更新はありません。 |
療育手帳 | 基本的にIQ(知能指数)で判定されます。最重度・重度・中度・軽度の4段階に区分されています。 | 等級の区分や名称などは、自治体によって異なります。(「愛の手帳」「みどりの手帳」など) 原則として、成人になると再認定不要となります。 |
精神障害者保健福祉手帳 | 日常生活や労働への支障の大きさによって1級~3級に分類されています。 | 障害年金とは別制度なので、等級は必ずしも一致しません。障害年金では受給が難しいとされている神経症(パニック障害や摂食障害など)も対象です。 原則として、2年ごとに更新手続きが必要です。 |
例えば、慢性腎不全によって人工透析を行なっている人の身体障害者手帳は1級ですが、障害年金は2級になります。
「障害者手帳が2級だから障害年金も2級」「重度障害だから障害年金は1級」になる訳ではありません。もちろん、障害者手帳と障害年金が同じ等級の人もいますし、違う等級の人もいます。
障害者手帳の有無やその等級は、あくまで障害年金の認定審査の際の参考・目安になるものとお考えください。
原則的に、障害年金は働いていても受給することが出来ます。
厚生労働省の「令和元年 障害年金受給者実態調査」によると、障害年金を受給している人の34%が働いていることがわかっています。
眼や耳の障害、肢体障害などの外部障害は、働いていることが障害年金の受給に影響することは少ないと考えられています。
一方、精神障害や発達障害、がんや内科系疾患などの内部障害は、認定審査の際に「就労することができている=障害の程度が軽度なのではないか」と判断されることが少なくありません。
ですから、障害年金を請求する際には、仕事の種類や内容・職場での受けている援助や配慮・職場での様子などを、審査する国側にしっかり伝えることが大切です。
なお、すでに障害年金を受給している人が、働き始めたことで、すぐに障害年金が停止になることはありません。次回更新時までは、そのまま支給が継続されます。障害者雇用など、援助や配慮を受けて就労している場合は、更新の際に働いていても、支給継続が検討されます。
障害年金を受給するための要件を満たしていても、請求(申請)しない限り、障害年金を受給することはできません。
障害者手帳を持っていても自動的に障害年金が支給される訳ではなく、請求手続きが必要です。
障害年金が受給できるかどうかは、書類のみで審査されます。
介護保険の要介護認定のように、市区町村の職員などが自宅を訪問して聞き取り調査をすることはありません。
審査するのは国で、具体的には日本年金機構の担当職員や「認定医」と呼ばれる医師などです。
必要な書類を漏れなく揃え、審査する側に障害の状態をきちんと伝えることが大切です。
障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類があります。
ポイントとなるのは『初診日』です。
『初診日』とは、障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診療を受けた日のことです。
自営業者など『初診日』に国民年金に加入していた人、生まれつきの障害や『初診日』が20歳前にある人などは「障害基礎年金」です。
一方、会社員など『初診日』に厚生年金保険に加入していた人は「障害厚生年金」となります。
「障害基礎年金」より「障害厚生年金」の方が、保障内容が手厚くなっています。
なお、以前は公務員や私立学校の職員などが加入する「障害共済年金」がありましたが、2015年(平成27年)10月に「障害厚生年金」に統一されました。
障害年金を受給する権利が発生する日が、平成27年10月以後に発生する場合には、障害厚生年金となります。一方、手続きについては、『初診日』が共済組合加入期間にある場合には、請求窓口は日本年金機構ではなく、原則、各共済組合となりますので、お間違えのないよう、各共済組合にお問い合わせください。
種類 | 対象となる人 |
---|---|
障害基礎年金 | ① 『初診日』に国民年金に加入していた人(20歳から60歳まで強制加入) 例:自営業者、無職の人、20歳以上の学生、会社員の配偶者に扶養されている人 |
② 『初診日』が20歳前の人 例:生まれつきの障害がある人、子どもの頃に障害を負った人 | |
③ 日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の人で、年金制度に加入していない期間に『初診日』がある人 例:60歳以上65歳未満で、老齢年金を受給するまでの人 | |
障害厚生年金 | 『初診日』が厚生年金保険加入中にある人 例:会社員 |
障害年金は、障害の程度によって3段階に分かれています。障害が重い方から1級、2級、3級の順番で、年金の額も1級が一番高くなっています。
『初診日』に国民年金に加入していた自営業の人や、生まれつきの障害などで『初診日』が20歳前にある人などが対象の「障害基礎年金」には3級がありません。そのため、請求(申請)の結果、3級に該当すると判定された場合、障害厚生年金だと年金が支給されますが、障害基礎年金だと年金は支給されません。
なお、障害厚生年金には、「障害手当金」という一時金があります。
目安はおおよそ次の通りです。
障害の程度 (等級) | 障害状態の目安 | |
---|---|---|
重 ↑ ↑ ↓ ↓ 軽
| 1級 | 他人の介助を受けなければ、日常生活がほとんど送れない。入院や在宅介護を必要とし、活動範囲がベッド周辺に限られる。 |
2級 | 必ずしも他人の助けは必要ないが、日常生活を送ることが困難。働くことは難しく、活動の範囲が家や病院内に限られる。 | |
3級 | 日常生活に支障は少なくても、働くことに制限を受ける。 ※障害厚生年金のみ。 | |
障害手当金 | 働くことに制限を受けていて、症状が固定している状態。 ※障害厚生年金のみ。一時金。 |
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障害年金の金額は、「障害基礎年金」か「障害厚生年金」かで異なります。また障害の程度によっても異なります。
同じ等級の場合は、「障害基礎年金」より「障害厚生年金」の方が、金額が高くなります。
金額は、4月から翌年3月の年度単位で決められます。「令和〇年度は年間○○円」という形です。
支給日は年6回、偶数月の15日(15日が土日祝の場合はその直前の金融機関営業日)で、その月の前2ヶ月分がまとめて振り込まれます。
「障害基礎年金」の額は年度ごとに決まった金額です。障害の程度が重い方から1級、2級となります。障害厚生年金と違い、3級や障害手当金はありません。
一年間の額は、1級で約100万円、2級で約80万円です。
18歳になる年度末(高校卒業)までの子どもがいる場合は、「子の加算」が付きます。年額は、2人目までは一人につき約23万円、3人目からは一人につき約8万円です。
なお『初診日』が20歳前にある人は、国民年金保険料を納付していない(制度上できない)ことから、本人の所得による制限があります。(詳しくはこちら)
「障害厚生年金」は、人によって金額が違います。そのため、一概に「〇級の人は○○円」と言うことはできません。同じ等級の場合、一般的には、給与が高く会社勤めの期間が長い人ほど年金額が多くなります。
障害の程度が重い方から1級、2級、3級、障害手当金となります。障害手当金は一時金ですので、受け取ることができるのは1度だけです。
1級と2級は、「障害厚生年金」とセットで「障害基礎年金(「子の加算」を含む)」が支給されます。
また、本人が1級または2級に該当する場合で、配偶者がいるときは、年間約23万円の「配偶者加給年金」が付きます。
では、どのようなときに障害年金が受給できるのでしょうか?
障害があるということだけでは、受給することはできません。
障害年金を受給するには、3つの要件があり、そのすべてを満たしている必要があります。
おおまかには、次の通りです。
① 初診日要件 | 『初診日』に年金制度に加入していること。 |
---|---|
② 保険料納付要件 | 『初診日』の前日において、保険料の納付済期間や免除期間などが一定以上あること。 |
③ 障害状態該当要件 | 障害の程度が定められた基準に該当していること。 |
『初診日』とは、障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診療を受けた日のことです。
3つの要件のうち、特に「①初診日要件」が重要です。
「障害基礎年金」と「障害厚生年金」のどちらになるのか、「②保険料納付要件」をどの期間で確認するのか。『初診日』はその両方に影響があります。
障害年金の請求(申請)の種類には、障害状態の審査対象となる日に応じて、主に2つあります。
請求の種類 | 審査対象となる日 | 手続きできる期間 | 年金の支給開始月 | 備考 |
---|---|---|---|---|
障害認定日請求 | 『障害認定日』 | 『障害認定日』以降 | 『障害認定日』の翌月から | 請求が遅れても、最大5年分をさかのぼって受給できる可能性がある |
事後重症請求 | 『障害認定日』以降、65歳になるまでで、病状が悪化した日 | 病状が悪化し、一定の障害状態に該当してから、65歳になるまで | 請求した月の翌月から |
続いて、障害年金の請求(申請)手続きのおおまかな流れを見ていきましょう。
病院側に書いてもらうものもありますので、書類を揃えるのには時間がかかります。
準備を始めてから請求するまで、2~3か月は見ておきましょう。
年金事務所などで「保険料納付要件」を満たしていることを確認する
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順調にいけば、障害年金の請求書類を提出してから約3~4か月後に、結果が郵送で通知されます。
書類の不備や、記載内容の確認などで、これより長くかかることもあります。
支給される場合と支給されない場合で、届く通知書が違います。
障害年金が支給されると決まった場合は、「国民年金・厚生年金保険 年金証書」(「年金証書」)が届きます。これは「年金決定通知書」を兼ねたものです。
「障害年金を受給できる権利を取得した日」「障害の等級」「次回診断書提出年月」は特に重要ですので、必ず確認しましょう。
「年金証書」が届いたらおおよそ2か月以内に「年金振込通知書」が郵送されてきます。
そこに初回の振込額や振込日が書かれています。
「年金振込通知書」に書かれている通りに初回の振込が行われます。
審査で待っていた期間がありますので、初回は数か月分の金額がまとまって入金されます。
診断書の受け取りを待ったり、書類をまとめたりすることを考えると、請求準備に2~3か月以上かかることが一般的です。
請求書類を提出してから結果が出るまでは、順調に進んで約3~4か月かかります。
支給が決まった場合、障害年金が振り込まれるまで、さらに約2か月かかります。
準備に取り掛かってから障害年金が振り込まれるまで、少なくとも6~7か月程度は見ておく必要があります。
また、請求の仕方によっては、請求が遅くなると年金の支給開始時期が遅れ、結果的に受給できる金額が少なくなってしまうことがあります。
障害年金を請求すると決めたら、できるだけ早く動き出しましょう。
障害年金が支給されないと決まった場合は、「不支給決定通知書」または「却下通知書」が届きます。
ともに「障害年金が支給されない」ということですが、少し意味合いが違います。
不支給 | 審査の結果、障害の程度が基準に満たなかった。 |
---|---|
却下 | 『初診日』が確認できなかったり、保険料の納付状況が基準に満たなかったりして、障害の程度の審査まで進まなかった。 |
不支給や却下になった場合や、決定した障害等級に納得ができない場合には、不服を申し立てることが出来ます。
手続きの進め方は、大きく分けて3つ考えられます。
① 審査請求 | 決定があったことを知った日の翌日から3か月以内に行う。(期限厳守) 決定内容の問題点を明らかにし、提出書類をもう一度見直してもらう手続き。 |
---|---|
② 再請求 | 新たに最初から障害年金の請求手続きをやり直す。 病状がきちんと診断書に反映されていなかったり、以前、請求した後、病状が悪化した場合に行う。 |
③ 審査請求と再請求を両方行う | 上記①②両方を同時に行うこともできる。 国の決定内容、審査内容をよく検討した上で、最善の手続きを考えていく必要がある。 |
審査請求の結果にも納得ができない場合は、さらに「再審査請求」を行うことができます。
また、受給は決まったものの障害等級に納得ができない場合には、「額改定請求」を検討することもあります。
詳しくは、「障害年金請求の決定に不服があるとき」のページをご覧ください。
不服申し立ては、一度出された結果に対して行うものですので、難しい手続きとなります。進め方も経緯や内容によって異なりますので、是非とも専門家にご相談ください。
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障害等級1級または2級に決まった場合は、届け出をすることで、障害年金を受給している間の国民年金の保険料納付が免除されます。(「法定免除」といいます)
過去にさかのぼって1~2級の障害年金が支給される場合は、その期間に納めていた国民年金保険料が返ってきます。(還付)
ただし「法定免除」期間があると、ある一定の年齢になった際に受給することができる老齢基礎年金の金額が少なくなります。
国民年金の保険料は、障害年金を受給しても納付を継続することもできます。また「法定免除」にした後であっても、10年間はさかのぼって納めること(追納)ができます。
障害状態が改善する可能性がある場合などは、今後の老齢基礎年金の受給を考え、国民年金保険料をどうするのがいいか検討しましょう。
※厚生年金保険の保険料には「法定免除」制度はありません。
ほとんどの場合、1年~5年ごとに審査があり、更新の手続きが必要です。
更新の時期が来ると、誕生月の3か月前の月末に「障害状態確認届」が郵送で届きます。(例:6月生まれなら3月末)
診断書欄を医師に書いてもらい、誕生月の末日までに日本年金機構へ郵送します。
請求時と違い、自分で取得・作成が必要な書類はありません。
「障害状態確認届」を提出してから約3~4か月後に、結果が郵送で通知されます。
審査の結果、同じ障害等級で続けて支給されることもあれば、等級が変わったり、支給が止まったりすることもあります。
審査の結果、病状が変わっていないのに障害等級が下がったり、障害年金に該当する状態なのに支給が止まったりした結果に納得ができない場合は、不服申立てをすることができます。
障害年金を受給中に病状が悪化した場合は、より重い障害等級に変更する手続きをすることができます。
「額改定請求書」と病状が悪化したことが反映されている診断書を提出することで、改めて審査が行われます。
この手続きができるのは、原則として、障害年金を受給する権利(受給権)を取得した日、または障害の程度の診査を受けた日から1年経過してからです。(人工関節や心臓ペースメーカーといった人工物を体に入れた場合のように、明らかに障害状態の悪化が分かる場合には、その時点から手続きできることがあります。)
この「額改定請求書」は更新手続きの際、「障害状態確認届」と同時に提出することもできます。
更新手続きの結果、障害年金の支給が止まった人も、病状が悪化した場合は支給の再開を請求できます。
「支給停止事由消滅届」と病状が悪化したことが反映されている診断書を提出することで、改めて審査が行われます。
この手続きは、病状が悪化した時にさかのぼって行うことが出来ます。
公的年金には「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3つがありますが、“一人一年金”が原則です。
そのため、障害年金を受給している人が老齢年金や遺族年金を受給できるようになった場合は、どれか1つを選択することになります。障害年金とあわせて受給することはできません。
ただし65歳以上になると、受給権のある年金が複数ある場合には、組み合わせて有利に受給することができることがあります。
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このページでは、障害年金の基本的な内容について、説明してきました。
障害年金がどのようなものか、なんとなくでもイメージしていただけると幸いです。
聞きなれない専門用語が出てきますし、一度読んだだけではピンとこないかもしれません。
また、体調が優れないときは、読むこと自体がつらい場合もあるかと思います。
少しでも分からないことがあれば、お気軽に障害年金支援ネットワークまでご相談ください。
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