受付 | 月~土曜日 10~16時(12~13時を除く) |
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休日 | 日曜日・祝日 |
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障害年金請求をした後の決定通知や、更新結果の内容が納得できないという方のために、今後の手続き方法を説明します。実際は2級と思えるのに結果が3級であったり、あるいは不支給になったという場合です。その場合は、ケースによって手続方法も違います。間違った方法で手続きをすると、書類が受け付けられずに返戻されてしまうこともありますので注意しましょう。
障害基礎年金で実際は2級と思えるのに該当しないと判断された場合、あるいは障害厚生年金で3級に該当しない場合は、不支給決定通知書が届きます。このような場合、一般的には行政不服審査法に基づく審査請求という方法を選びます。ただし審査請求は、「裁定請求時に提出した書類をもう一度審査し直してください」というのが趣旨です。つまり、その診断書に問題があるのであれば、審査請求をしても同じ結果が出てしまいます。「後出しじゃんけん」のように、書類を出し直すことはできませんので、診断書が軽く書かれていた場合などは、新たに請求をやり直す「再請求」の方法にします。
では、再請求ができる時期についてですが、再請求は前回の請求から1年待つなどの必要はありません。ただし、事後重症請求の場合は、再請求の提出日が遅れた月数分だけ、受給額は減少してしまうことになります。いずれにせよ、請求手続書類を差し替えたい場合は再請求するしか方法がありません。
なお、審査請求と再請求は、同時に併行して進めることも可能です。
不支給決定通知書には、抽象的に「国民年金法施行令別表(障害等級1級、2級の障害の程度を定めた表)に定める程度に該当していないため」と書いてあるだけです。これではなぜ不支給なのか、どうして障害認定基準に該当しないのかはさっぱりわかりません。
不支給理由がわからないまま、やみくもに審査請求をしても勝ち目はないので、まず不支給処分の理由を明らかにする必要があります。
実は、年金事務所は「具体的不支給理由」は知りません。障害年金事務センターに電話で「具体的不支給理由」を聞いてもらいましょう。
「国民年金法施行令別表(障害等級1級、2級の障害の程度を定めた表)に定める程度に該当していないため」ではなく、なぜ、程度に該当していないかを聞いてもらわなければなりません。
年金事務所の窓口で事務センターに電話して不支給理由を聞いてもらうと、伝言ゲームのようになったり、聞き返すということが困難だったりします。やはり、直接聞くのが一番です。不明瞭なことがあればすぐに質問もできます。
不支給理由は文書に明確に書いてあるわけでもありません。書かれているのは、認定医のメモです。事務担当者はこれに肉付けをして自分の考えを言おうとするので、「書いてあることだけ言ってください」と頼んで、書いてあることだけ読んでもらいましょう。
厚生労働省年金局に、「障害年金の審査に係る書類一切」の開示請求をします。
開示請求先 厚生労働省 年金局 事業企画課 情報公開係
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
中央合同庁舎3号館 TEL03-5253-1111 内線3577
厚生労働省ホームページ → 申請・募集・情報公開 → 個人情報保護 → 請求書等様式
障害年金を裁定請求したら不支給になった場合 |
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① 不支給決定通知書を受け取った日の翌日から3か月以内に不服申立(審査請求)をする |
② もう一度診断書などの必要書類を揃えて、年金事務所や市役所に裁定請求をする |
③ ①と②の同時並行を行なう |
実際は1級と思ったのに2級に決定した場合、あるいは2級と思えるのに障害厚生年金の3級に決定した場合は、不支給とは違うため、審査請求か、または、額改定請求をすることになります。
額改定請求ができる時期は、精神疾患の場合はすべて1年経過後ですが、その他の障害は平成26年4月1日の改正により、1年待たなくても良い22点の障害が定められていますので、早目に手続きをすることも可能です。
なお、診断書の有効期限は、額改定請求の場合1か月以内ですので注意が必要です。
予想した等級より低かった場合 |
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① (予想より低いと決定された)年金証書を受け取った日の翌日から3か月以内に不服申立(審査請求)をする |
② 1年後に額改定請求をする(一部の障害は1年待たずとも額改定請求が可能) |
障害認定日請求の場合、認定日から1年経過後になりますと、診断書を2枚以上提出することになります。障害認定日と現在の診断書2枚です。等級が同程度であり、不服がないのであれば問題ありません。しかし、現在は重症化しており、等級が明らかに上がっているのに、同じ等級で決定されてしまうということもあります。数年前までは、職権で額改定にならない場合も審査請求ができました。
ところがここ数年は審査請求ができなくなり、平成27年12月10日の厚生労働省事務連絡により、「重症化の場合は、裁定請求と同時に額改定請求書提出を受け付ける」ということになりました。よって、このような場合は額改定請求書を併せて提出した方がいいです。
逆に額改定請求書を同時提出せず、認定日の等級と変更がないと決定された場合は、ここ数年の傾向として、審査請求ができないことになってしまいました。この場合は、やむを得ず額改定請求が可能となる時期を待ってから、手続きをすることになります。
障害認定日(3級[2級])、裁定請求時(2級[1級])を目指している場合 |
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① 裁定請求書を提出する際、額改定請求書も一緒に提出する |
このような場合は、職権で上位等級に変更して頂けるのが原則です。
ところが、不本意にも同じ級に決定してしまうこともあります。同じ級に決定の場合も審査請求ができませんので、明らかに重症化している場合は、額改定請求書を併せて提出した方がいいです。そうしておけば不服の場合に審査請求をすることが可能となるからです。ご参考までに、厚生労働省で公開した、障害状態確認届提出後の「再認定の状況」を掲載いたします。
現在3級(2級)の障害年金を受けていて、更新時に2級(1級)に変更したい場合 |
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① 障害状態確認届(診断書)と一緒に、額改定請求書も一緒に提出する |
平成25年度 障害基礎年金 再認定の状況(精神の障害のみ)
全国合計 | |
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障害状態確認届送付件数 | 109,028件(100.0%) |
内 改定なし | 101,868件(93.4%) |
内 増額改定 | 2,473件(2.3%) |
内 減額改定 | 2,039件(1.9%) |
内 支給停止 | 2,650件(2.4%) |
出典:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12501000-Nenkinkyoku-Soumuka/0000101606.pdf
出所は、厚生労働省HPより、地域差の専門家検討会 第7回の資料 です。http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-nenkin.html?tid=246772
障害状態確認届(診断書の更新時)で支給停止になった |
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① 等級非該当の通知を受け取った日の翌日から3か月以内に不服申立をする |
② もう一度診断書を書いていただき、支給停止事由消滅届を提出する |
③ ①と②の同時並行を行なう |
障害年金の審査請求は、処分(決定)を知った日の翌日から起算して3か月以内に、社会保険審査官(各地方厚生局内)に審査請求をすることができます。社会保険審査官は、審査請求人の求めに応じて、保険者(厚生労働大臣)等の処分が、法律等に基づいた適法かつ妥当な処分であるかを審理する機関です。
① 不服を認める「容認」
② 不服を認めない「棄却」
③ 訴えの利益がなくなったのに請求を取り下げない場合等の「却下」
④ 保険者(厚生労働大臣)が自ら誤りを認める「原処分の変更」
ここ数年は、審査請求に要する期間も6か月以上と長期間になり、結果も厳しくなってきたようです。
この不服申立制度について、平成28年4月1日に行政不服審査法が一部改正されました。この改正によって、万一審査請求で棄却などの不本意な結果が出された場合は、再審査請求をするか、裁判所に提訴することも可能となりました。平成28年4月の改正の主な点は、次のようになっています。
① 審査請求までの期間が従来の60日以内から3か月以内に延長されたこと
② 審査請求、再審査請求の場で、意見陳述する機会が創設されたこと
③ 再審査請求を経ないで裁判所に提訴することも可能となったこと
④ 情報提供制度が新たに創設され、情報提供などを請求できる範囲が拡大されたこと(これは審査請求人または参加人が、審理手続きにおいて適切な主張・立証を行えるようにするためです)
障害年金支援ネットワーク会員のサポートにより、不支給等の決定が覆り、障害年金の受給が認められた事例を紹介します。
あきらめずに、専門家へご相談ください。