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事例79:アルコール依存症も障害年金の対象となります②

傷病名  アルコール依存症
年金の種類  障害厚生年金
等級  2級
請求方法  事後重症請求
年齢・性別  60歳代・男性

事例の概略

 飲酒の習慣はありましたが、仕事のストレスや家族の病気などによって不眠傾向や意欲低下状態が続き、酒量が増えていく経過で発症。初期の受診ではうつ病、不眠症、アルコール依存症など病名が分かれ、ご家族で請求を進めたが初診日はいつになるのか混乱し、社労士へ依頼となりました。

請求までの経緯

 初診のクリニックには、カルテは既になかったのですが、2番目のクリニックの記録に前医初診時の受診月の記載がありました。相当因果関係からこの2番目のクリニックの記録に記載の日を初診日として申し立てました。

苦労したこと 工夫したこと

 診断書作成を主治医に依頼し、仕上がった診断書の請求傷病名は「アルコール依存症」でした。ほかに病名の併記はありません。この病名で障害年金はもらえるのか。請求当時はこの案件以前に、とある精神科医より「アルコール依存症で障害年金は出るはずがない」という話を聞いていたため、確信は持てませんでした。

 障害認定基準は以下の通りです。

 症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む。)とは、先天異常、頭部外傷、変性疾患、新生物、中枢神経等の器質障害を原因として生じる精神障害に、膠原病や内分泌疾患を含む全身疾患による中枢神経障害等を原因として生じる症状性の精神障害を含むものである。なお、アルコール、薬物等の精神作用物質の使用による精神及び行動の障害(以下「精神作用物質使用による精神障害」という。)についてもこの項に含める。また、症状性を含む器質性精神障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して 認定する。

 

【2級例示】

認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの

請求の結果

 診断書上の依存症の状態像には、抗酒剤服用を守れず、治療に向き合えないほどの身体依存、アルコール依存に伴う人格変化(自己中心性・攻撃性)の記載があり、どのような処分になるのか予想ができませんでしたが、無事2級で支給決定となりました 。

感想など

 この案件以降、アルコール依存症絡みの請求での不安は遠のきました。単一傷病名「アルコール依存症」でも、「アルコール依存症+双極性障害」など複数病名併記での請求でも障害年金の対象となり、障害認定基準に当てはめて取り扱われます。

担当社労士 K・T(山梨県)

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