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事例67:線維筋痛症の初診日は?

傷病名  線維筋痛症
年金の種類  障害厚生年金
等級  2級
請求方法  事後重症請求
年齢・性別  50代・男性

事例の概略

 これは、裁定請求で申し立てた初診日が、下記の経緯で再審査請求の結果ようやく認められた事例です。

① 裁定請求で申し立てた初診日 平成26年12月3日 初めて近所の整形外科を受診した日
② 不支給決定の際に初診日とされた日 平成29年4月12日 線維筋痛症と診断された日
③ 審査請求で申し立てた初診日 平成26年12月3日 初めて近所の整形外科を受診した日
④ 審査請求の結果、初診日とされた日 平成29年4月12日 線維筋痛症と診断された日
⑤ 再審査請求で申し立てた初診日 平成29年3月27日 線維筋痛症の症状の記録がカルテにあった日
⑥ 再審査請求の結果、認められた初診日 平成26年12月3日 初めて近所の整形外科を受診した日

病歴

 Kさんは、平成25年頃から腰に抜けるような感覚と痛みがあり、やがて、足の甲や指にしびれも生じたため、平成26年12月3日に近所の整形外科を受診したところ「変形性腰椎症」、「アルコール性神経障害」と診断されました。

 その後、腰の症状が悪化し大学病院に転院し、平成28年11月には脊椎固定術を受けることになりました。その手術後に両手のこわばりやしびれ、両膝から足の甲にかけてのしびれや痛みが発症、また同時に全身の倦怠感もあったため、同病院内の他の診療科を紹介され診察を受けたところ、平成29年4月12日に初めて「線維筋痛症」と診断されました。

裁定請求、審査請求

 Kさんは、初診日を平成26年12月3日として線維筋痛症で、障害厚生年金の請求を行いましたが、「初診日において厚生年金保険の被保険者であったものに該当せず、初診日は平成29年4月12日である」として不支給となりました。

 結果に納得がいかず、また平成29年4月12日が初診日では保険料納付要件を満たさないこともあり、審査請求を行いましたが、「線維筋痛症の主症状である全身の疼痛があることが認められ、線維筋痛症と初めて診断されたのは平成29年4月12日」であるとして棄却されました。

障害年金支援ネットワークに電話相談

 申し立てた初診日が認められず精神的にも参っていたとき、障害年金支援ネットワークの電話相談を利用され、親身になって話を聞いてもらい大変ありがたかったそうです。

 電話相談の際に再審査請求の手続きの支援を希望され、Kさんのお住まいに近い小職が担当することになりました。

再審査請求

 再審査請求では、審査請求において、線維筋痛症の初診日と認められる前提条件として、線維筋痛症の主症状である「全身疼痛」の症状があり、線維筋痛症と「診断」されることをあげられているが、その主張は、診断された日のみを捉えての主張のため、線維筋痛症と診断される前後の症状の間に引き続く線維筋痛症の疼痛が存在する可能性を除外し、その結果、その引き続く疼痛で「初めて医師の診療を受けた日」を初診日から除外するもので、「初診日」の定義に反し問題であることを主張しました。

 線維筋痛症は、他の病気の可能性を排除するための検査や治療を経てようやく診断される、診断までに時間がかかることが多い病気です。最初は部分痛で始まりやがて全身に痛みが拡がる症例も多くあります。

 そのため、Kさんが初めて整形外科を受診してから線維筋痛症と診断を受けるまでの間に、他の病気では説明のつかない症状が続いていなかったか、カルテ上で記録を探しましたが見つけられず、初めて整形外科を受診した日を初診日として再審査請求で申し立てることは諦めざるを得ませんでした。

 そこで、担当医の先生に相談し、線維筋痛症の症状の記録がカルテにあった平成29年3月27日を新たに初診日として申し立てることにして、診断書を発行いただき、再審査請求書に添付いたしました。

 その診断書には、新たに申し立てる初診日に加え、診断日の根拠と診断の経緯として、難治性の腰痛に始まり線維筋痛症と診断されるまでの一連の診療の経緯を記載いただきました。

結果

 再審査請求の結果、原処分が変更され、Kさんが裁定請求と審査請求で申し立てた「初めて医師の診療を受けた日」(初めて近所の整形外科を受診した平成26年12月3日)が初診日として認められ、大変驚きました。もう認められないと諦めていた初診日が認められ、Kさんもご家族も大変に喜んでおられました。

今回の事例から考えること

 再審査請求では、難治性の腰痛に始まり線維筋痛症と診断されるまでの一連の診療の経緯が再度審査されたことで、平成26年12月3日に初めて整形外科で受けた診療と線維筋痛症との間に関連性が認められたと考えています。

 線維筋痛症と同じく、障害年金の認定が困難な疾患とされている脳脊髄液減少症では、令和元年12月より「請求者が申し立てた初診日における診療と脳脊髄液漏出症との間の関連性の有無を判断し、申立初診日における診療が脳脊髄液漏出症に係る一連の診療のうち初めての診療であると認められる場合には、申立初診日を障害年金初診日として取り扱うものとする。」とされました。

 線維筋痛症でも今後「初めて医師の診療を受けた日」が初診日として認められるケースが増えていくものと考えられます。

 Kさんは、今回の経験を通して、同じ病気で苦しんでいる人、困っている人に、あきらめずに手続きされることをお伝えしたいとのことです。

担当社労士 Y.A(栃木県)

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